同大の菊池克仁入学センター長は、増加の理由について、入学定員管理の厳格化のほか、学部構成や入試方式も影響していると分析する。

「15学部のうち11学部が現在人気の文系学部で、多様な学部が受験生のニーズに応えています。さらに、英語外部試験利用入試、2科目で受験できるT日程入試(全学部統一入試)など、さまざまな入試方式を用意しています。16年度からの『入学定員管理の厳格化』で浪人生が増えたこと、安全志向で、受ける大学や学部数が増えていることも志願者増につながっていると思います」

 次に合格者数と倍率では、志願者数が年々増えているのに、合格者数は16年から2万3192人、2万1181人、1万7548人と年々減少。このため、倍率は4.4倍、5.6倍、7.0倍と上昇している。

 一方、定員充足率は、17年は112.2%だったが、18年は99.9%で、わずかに定員割れした。

「入学定員充足率の基準値は、大学全体の定員だけではなく、学部ごとの定員にも適用されるため、大学全体と各学部の両面で合格者数を調整しています。過度な定員超過を是正することは、教育の質を維持するために必要ですが、他大学の合格発表動向の影響を受けるうえ、T日程入試では複数学部に合格した場合、どの学部に入学するかわからないため、合格者の手続き率を読むのは本当に難しい」(菊池センター長)

 法政大では18年は定員充足率の基準値1.1倍を超えないように、1回目の合格発表では合格者を絞り込み、その後、5学部で二次追加合格、さらに3学部で三次追加合格を出した。

 この追加合格による調整は法政大だけではなく、他大でも行われており、学生の進路が決めづらい要因となっている。駿台・石原部長の話にもあったように、入学式が間近に迫った3月下旬になって繰り上げ合格が届く受験生もいる。

■立命館大、青山学院大、中央大など学部新設の大学が狙い目

 医学部は1991年から基準値を導入しているが、定員が100人前後で基準値が1.1倍の医学部と、定員が700~800人の大規模な文系学部とでは、1.1倍の規模が異なり、超えないために懸命な努力が求められている。

 大規模大学が入学生を基準値未満に抑えるのに苦労するなか、大学関係者をさらに不安にさせたのが、15年の文部科学省からの通知だ。15年7月に、文科省高等教育局私学部長と日本私立学校振興・共済事業団理事長の連名で、学校法人理事長に送った「入学定員超過率の変更」の通知には、「19年度以降」について、次のように記されている。

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