林:先ほど、スタッフの方にオフィスの中を案内していただきましたけど、木がふんだんに使ってあって、温かみがありますね。和室も含めていろんなタイプの打ち合わせ室がいっぱいあって、昔のセントラルアパート(東京・原宿)の糸井さんの事務所を思い出してうれしくなりました。今はセントラルアパートもなくなっちゃって寂しいですけど、どこかに面影がある気がします。

糸井:ああ、あるかもね。仕事の上でミーティングがいちばん大事なんで、打ち合わせの部屋をたくさんつくったんです。あちこちで立ち話もできるよう、スタンディングテーブルも置いたり。通りがかった人も参加できるような会議と、集まってみんなで部屋でやる会議と両方あるんですよ。一人で考えるのは家かもしれないし、電車の中かもしれないんだけど、それを持ち寄って、議論することが大事だと思っています。

林:社員の方は皆さん、糸井さんを慕って入ってくるわけですよね。

糸井:いや、あんまり慕ってるふうな人は困りますね。すごい勢いで「入りたいです!」みたいな人は。

林:「僕はこういう仕事がしたいんです」みたいな人はウザい?

糸井:今の時代にそれを考えるという想像力がすでに間違ってますよ。認められ方はいっぱいありますから。

林:一人ひとり選ぶんですか。

糸井:はい。合宿とかして選びます。一緒に泊まってごはん食べて会話して、チーム分けして模擬的な仕事をやって、僕らも助言したりしながら進め方を見たり。

林:学歴とかは関係ないんですか。

糸井:関係ないですね。やっぱり“いい人”かどうかですよ。

林:いい人というのは、気配りができるとか、そういうことですか。

糸井:気配りも、練習して気配りができる人もいるしね。例えば町の団子屋さんの娘さんに「これおいしいの?」って聞いたときに、その娘さんが「私は好きです」って本気で言ったら、それは気持ちが伝わりますよね。そういうところのほうが大事じゃないですか。

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