糸井:そういう流れもあるんだけど、地球儀は僕がずっと前からやりたかったんです。蹴飛ばしたり放り投げたりできる地球儀が欲しくて、「やろうよ」と言ってやり始めたら、「今ならAR(実際の風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示する技術)があるよね」という話になって、技術を足していったわけです。「情報は小学館の図鑑があるよね」「JAXA(宇宙航空研究開発機構)もあるよね」という話になって、一つひとつお願いに行くと「ぜひ一緒にやりたい」と言ってくれました。スタートしてから、どんどん足されて形を変えていって完成した感じです。

林:カレー(「カレーの恩返し」)もつくってるんでしょう?

糸井:あれはレトルトじゃなくて、家庭のふつうのカレーに入れておいしくするスパイスです。レトルトカレーはずっと試してつくったけどなかなか難しくて。まだ出せないです。

林:「ほぼ日手帳」みたいなメジャーなものと、マイナーなものがうまく入り交じってるような感じで、そこがおもしろいですね。

糸井:稼ぎはいらないというものも交ざってないとつまんないですね。だから一銭にもならなくてもいい仕事というのもあります。

林:糸井さんはインターネットを完全には信じてなくて、ネット販売ばかりやってたらダメだと思って、リアルなお店(「TOBICHI」東京・南青山、京都)もつくって直販してるんでしょう? そういうところが糸井さんだなと思いますよ。

糸井:インターネットのほかにお店を出したのは、いま(ネット上で)売ってないものを買いに来てくれる人がいるんですよ。わざわざ東京に買いに来てくれても、売ってる場所がない。そういう場所があればいいのになと。だったら展覧会とかもそういう場所でできればいいな、と思ったんです。

林:それでリアル店舗をつくって、志村ふくみさん(染織家)の作品などを販売してるんですね。

糸井:売るばっかりじゃなくて、志村ふくみさんからまだあまり知名度がないアーティストまでを展示すると、そこから次にやることがまた見えてくるんですね。

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