主な症状は、息切れ、せき、たん。こうした症状は風邪やインフルエンザ感染などを契機に悪化し(増悪という)、肺炎を招くほか、COPD自体を進行させてしまうことになる。

■動かない生活が初期症状を見逃す

 階段の上り下りや坂道を歩いたときの息切れは、比較的早期のCOPD発症サインとなる。

 日本大学板橋病院呼吸器内科主任教授の權寧博医師は、こう話す。

「息切れを“年のせい”にして初期症状を見逃す人が多いです。そもそも動かなければ息切れは起きないため、無意識に動かない生活を送る人が多くなります。同年代の人と歩いたときに息切れを感じて、遅れがちになる人は実年齢よりも肺の老化が進んでいる可能性が高いです」

 COPDの治療は、早期に肺の老化のサインを察知し、禁煙することが第一歩となる。しかし、代表的な発症サインである「息切れ」が単なる加齢現象と区別がつかないうえ、患者は息切れが起きないように活動性の低い日常生活を送ってしまうことが多い。

 東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科教授の寺本信嗣医師は「どれくらい動けているか?」を意識して問うように心掛けているという。

「COPDの患者さんに単純に息切れの有無を問うと、ほとんどの人から息切れしないという答えが返ってきます」

 COPDと正確に診断するためには、スパイロメトリーという検査をおこなう必要がある。これは呼吸機能を調べるもので、COPDの場合、「1秒量」と言われる息を吐く能力が同年代の標準的な値より低くなっている。この呼吸機能検査を受けてみるべき人として、真っ先に挙がるのは喫煙歴のある70歳以上の人になる。加齢と喫煙による肺の老化が相当に進んでいると見込まれるからだ。頻繁に風邪をひき、長引くような人もCOPDが原因であることが少なくないという。

■禁煙することで肺の機能は元に戻る

 現在の喫煙者とともに、肺の機能がピークに達する25歳以前にたばこを吸っていた人は、年齢にかかわらずCOPDになるリスクが高い。寺本医師はこういった該当者に対して「1日に歩ける歩数」を聞く。

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