COPD データ  (週刊朝日2018年10月19日号より)
COPD データ  (週刊朝日2018年10月19日号より)
この記事の写真をすべて見る
COPDになった肺・気管支(イラスト/今崎和広 週刊朝日2018年10月19日号より)
COPDになった肺・気管支(イラスト/今崎和広 週刊朝日2018年10月19日号より)

 肺の機能が落ち、生活の質を著しく低下させる病気を、慢性閉塞性肺疾患(COPD)という。今や世界的な主要死因となっている。酸素ボンベを手放せない暮らしを回避するためには、病気の予兆を捉える早期発見がカギとなる。

【画像】COPDにになった肺・気管支はこうなる!

 落語家の桂歌丸さんは晩年、酸素ボンベを用いながらも高座に上がり続けた。2018年7月に死去し、死因として公表された病気が慢性閉塞性肺疾患(COPD)だった。聞きなれない病名に、どんな病気なのかと思った人も多いだろう。

 厚生労働省の統計によると、16年のCOPDによる死亡者数は約1万5千人、全体で死因の第11位、男性では第8位となっている。死因上位にもかかわらずCOPDの認知度は低く、発見の遅れにつながっている。検査を受けていない人も多く、水面下には500万人以上の患者がいると推定されている。

 COPDは有害物質の長期吸入によって生じる肺の病気で、息を吐く力が同年代の水準の7割を切ると、この病気と診断される。空気の通り道である気道(気管支)が狭くなり、濁った体内の空気を吐き出すのが難しくなるほか、COPDの肺は伸び切った風船のような状態となり、正常な呼吸ができず、濁った空気がたまり息苦しくなる。

 肺が老化し、壊れていく病気と考えるといい。肺の機能は健康な人でも25歳前後をピークに年々下がっていくが、COPDの患者は同年齢に比べて肺の老化が激しく、喫煙により老化のスピードはさらに加速する。別名「たばこ病」と言われるように、患者の80%以上は喫煙者だ。たばこの煙などに含まれる有害物質が長い年月をかけて気管支を傷つけ、肺を壊していく。息を吐く力が弱くなるのが特徴的だ。

 発見が遅れ進行した状態になると、正常な呼吸ができなくなる。不足する酸素を肺に送り込むため、酸素ボンベで酸素を吸いながらの生活を強いられる。やがて酸素を吸ってもまかなえない呼吸不全となり死亡する。肺炎や肺がんなどの合併症にかかるリスクも高くなる。実際、現在の日本人死因のワースト3であるがん、心疾患、肺炎のなかには相当数のCOPDが合併していると考えられている。

次のページ