「松坂はメジャーに行かなければすでに200勝していたかもしれないですね。向こうで妙な消耗の仕方をして、ボロボロになって帰ってきちゃった。日本復帰後に入団したソフトバンクでの3年間はほとんど出場できなかった」(江本氏)

 そもそも松坂世代がプロ入りしたころから先発投手の登板機会に変化が生じ、中6日登板や球数の目安が100球といった登板機会を制限する方向に進んだ。かつては中4~5日で投げていた投手が名球会入りしたことを考えれば、基準が厳しいとの声も出ている。だがその一方で、大リーグの登板は日本より短い中4日が一般的。2014年にヤンキースに入団した田中将大は順調に2桁勝利を続け、20日現在で日米通算163勝と、投手としては黒田博樹氏(元広島)以来の名球会入りはほぼ間違いない。

 メジャーで成績が急降下した怪物松坂にとっては恨めしい話かもしれないが、200勝までどれだけ近づくか、“たそがれの投球”に夢を求める野球ファンがいることを忘れぬよう。(本誌・緒方麦)

週刊朝日  2018年10月5日号