前出の野上氏も安倍首相の政策・実行力についてはバッサリ。

「憲法改正にはこだわりがあるが、個人的にレガシーを残したいと思っているだけ。憲法を精読しているところは見たことがないと多くの人から聞く。右寄りの人が喜ぶことばかり言っている。昔から、同じ考えの人たちを集め、自分好みの路線を歩いているから、実行力があるとは言えない。違う考えの人への歩み寄りがない幅の狭さは致命的」

 野上、角谷、大下の3氏はそろって「外交の安倍」を否定する。

「近隣5カ国、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、アメリカ、うまくいってる国はどこもありません。プーチンさんとは20回以上会っているけれど、信頼関係はできていない。『北方領土はわが国の固有の領土』という日本のセリフをプーチンさんが言っている。米大統領のトランプ氏とは武器の購入の約束だけをしていて、日米の信頼関係があるからこそという成果が出ていない。韓国、中国に至っては二階幹事長が外交交渉している。北朝鮮と秘密接触したこともアメリカにばれて、怒られている。これが俯瞰する外交なのか」

 防衛相、農水相、地方創生、国家戦略特別区域担当相と数多くの閣僚を経験してきた石破氏に対しても、これまでの検証が不十分だと角谷氏は指摘する。

「石破さんが閣僚のときに、加計学園問題が起きている。農水相の経験者なので獣医学部の問題はよくわかっているのに、石破さんは疑惑には口を閉ざしていた。誠意をもって戦ったとは言えない」

 2人のガチンコ対決の行方はいかに。(本誌・上田耕司、田中将介)

週刊朝日  2018年9月21日号より抜粋

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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