膵がんで入院中だった沖縄県知事の翁長雄志氏が、8日午後までに同県浦添市内の病院で死去していたことがわかった。67歳だった。
【写真】「夫婦で辺野古基地前に座り込む」と語っていた妻の樹子さん
米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古への新基地建設反対を訴え、2014年の県知事選に初当選。今年7月には、辺野古の埋め立て承認撤回を表明していた。
新基地建設反対の信念は最後まで揺るがなかった。闘う知事を支えた妻の樹子さんは、過去に「万策尽きたら夫婦で一緒に(辺野古基地前に)座り込むことを約束している」と明かしたこともある。
16年に「朝日ジャーナル」のインタビューに応じた翁長氏は、この“約束”について問われている。そのときは、言葉を選びながらも「座り込みについて妻が言ったことは、話が違うわけではありません」と否定せず、さらに「辺野古移設阻止が挫折して、一人間、一市民、一県民に戻った場合に何をするかは、沖縄県民のみんなと一緒です」と語っていた。
06年には胃がんの手術ですでに胃を全摘していた。だが、知事になってからの苦労について聞かれても「沖縄のご先祖は、私らよりもっと苦労している」と話していた。
翁長氏が闘っていたのは、米国や日本政府だけではなかった。日本人に残る沖縄への偏見や差別に対しては、データを元に強く反論していた。「沖縄が抱えている問題を解決しなければ、日本の民主主義も成り立たない」が持論で、まさに命を削りながら最後まで闘い続けた。
翁長氏が変えようとした“日本”とは何だったのか。当時のインタビューを掲載する。
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──沖縄県うるま市の20歳の女性が殺害された事件の後、安倍晋三首相と面会し、「日本の独立は神話だ」と言いました。その真意は。
戦後の日本を見ていたらね、みんな凧のように米国が操っているように見える。
「日本を取り戻す」とか「美しい日本」とか「戦後レジームからの脱却」とか勇ましいこと言うけど、あなたも後ろから糸で引かれているんじゃないの、と。それを言いたいために「日本国が独立しているのは神話であると言われないようにしてください」と安倍首相、菅官房長官に面と向かって申し上げました。