ただ、中央の政治家は私たちに寄り添う気持ちがありました。名前を挙げるのは一人にしておきますが、野中(広務・元官房長官)さんなんかは、ちゃぶ台に手を当てて土下座をせんがばかりに頭を下げて謝罪をしました。それでも、私らが「基地を減らしてほしい」と言っても、「今の日本にはできないんだ。申し訳ない」と言われました。

──政治が「保守」と「革新」で対立していた時代は終わりました。

 自民党は94年の新進党分裂で液状化して、社会党も二大政党を担う役割を失いました。時代は変わった。

 なのに、沖縄だけが基地を間に挟んで「保守」と「革新」に分かれて政治をしていた。基地は自分たちが持ってきたのではないのに。世界情勢も変化し、アジア諸国の台頭で、アジアのダイナミズムを取り入れないといけない。

 基地問題で対立しているのはおかしい。私は、沖縄が抱えている問題を解決しなければ、日本の民主主義も成り立たないと思っています。日本国憲法は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という3つの柱で成り立っていますが、その次に私が大切だと思うのは「地方自治」。地方自治をないがしろにする日本に、本当の意味での民主主義国家としての資格はない。私が「イデオロギーよりアイデンティティ」と言っているのは、そのためです。

 私は、保守政治家として日米安保はアジアに平和と安定をもたらす世界に冠たる同盟であってほしいと願っている。米国も、これ以上見て見ぬふりはできない。

──辺野古基地建設が中止された場合、「世界一危険」と言われている米軍普天間飛行場の返還が難しくなるのではないですか。

 政府は、辺野古移設が遅れることで「普天間基地が固定化されてもいいのか」と脅します。ですが、普天間基地は03年にラムズフェルド米国防長官(当時)が「世界一危険な米軍施設」と発言し、閉鎖も求めている。菅官房長官も何十回、何百回と「世界一危険」と言っている。

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日米同盟は砂上の楼閣