「女性から見たら一見、無価値なものに装って、比較的換金率が高いアイテムにかえる。まさかこれがこんなに高いものだとはと、相手が気付かないことを狙うわけです。ちなみに、財産隠しでこの手口を使うなら値下がりのリスクがないものを慎重に選ぶのがポイントです」(同)

 定期的に相手の書斎や収納スペースなどをガサ入れすると、怪しいモノが出てくるかもしれない。

 現金を隠し持つにも、知恵を絞っている。昔ながらのタンス預金なら、実家など自宅以外で信頼できる場所が鉄則。中には、不動産も全て現金化し、実家に預けるというツワモノもいるという。また、銀行の貸金庫を使うことも。

 隠すなら、とにかく相手の手が届かない場所に。漏れなく暴こうとするなら、同居している間に全ての財産をリストアップしておくことが欠かせない。別居した後では相手が正直に財産を申告しているかわからない。そうなる前にまず、相手名義の財産はどのくらいあるのか、不動産、預貯金、現金、保険、有価証券、家財道具、車、美術品、宝石など夫婦の共有財産を把握しておくことが、自己防衛につながるのだ。通帳や源泉徴収票など、相手の財産に関わる書類は全てコピーをとっておくと良い。

 もちろん、本来、財産隠しはしてはいけない。ただし、離婚が頭をよぎれば、相手が思ってもみない行動に出ることもありうる。互いの心理戦であり、ある種の知恵比べ。夫婦にすき間風が吹き始めたら、相手の行動を疑ってみたほうがいいかもしれない。(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2018年7月27日号

著者プロフィールを見る
松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

松岡かすみの記事一覧はこちら