試合後、ゴミ拾いをするサポーター=19日午後、ロシア・サランスク、内田光撮影  (c)朝日新聞社
試合後、ゴミ拾いをするサポーター=19日午後、ロシア・サランスク、内田光撮影  (c)朝日新聞社

 日本人サポーターのロシアW杯・サッカースタジアムでのゴミ拾いが世界から賞賛されている。コロンビア戦の余韻が残るスタジアムでサムライブルーのユニフォームを着た日本人サポーターが水色の大きなビニール袋を片手にゴミ拾いを開始。すると、その近くで黄色のユニフォームを着たコロンビア人サポーターも同じ袋を持ち、ゴミ拾いをしていたのだ。

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「日本を見習って、他の国のサポーターもゴミ拾いを始めている」

 こう指摘するのは英BBCのアンドレアス・イルマー記者だ。今大会ではウルグアイ、コロンビア、セネガルなど各国のサポーターがゴミ拾いをしたと話題になっている。

 イルマー記者は日本人サポーターのゴミ拾いを報道。記事は多くの人に見られ、ツイッターでも大きな話題になった。背景には、サポーターの暴動など悪い面が注目され、良い面が報道されにくいことがあると見る。

「日本人サポーターのゴミ拾いは14年のブラジルワールドカップでも話題になっていた。今回も多くの人がインスピレーションを得たようだ。人の心を熱くするものがあったのだと思う」(イルマー記者)

 しかし、否定的な見方もある。

 イギリス人サポーターで、地元チームのサポーターズクラブ代表のアーサー・プレストンさんは「日本人の行動は奇妙にさえ思えた」という。ゴミ拾いについて自分の娘も含め多くの人が共感したとしつつも、こう語る。

「イギリスのサッカーファンの大多数は、応援が目的。ゴミ拾いをしてチームをより大きく見せようとは考えていない。ゴミ拾いの費用はチケット代に含まれるべきとイギリス人は考えると思う。我々は決して真似することはないでしょう」

 ゴミ拾いをするべきではないという考え方もある。現地の清掃員の仕事を奪うことになるからだ。

 しかし、ロシアスポーツチャンネル「マッチTV」のスタニスラフ・ミニン解説員はこの考えを「全くナンセンスだ」と一蹴する。

「日本人サポーターは“仕事”なんてしていない。立派で見習われるべき文化の一つを見せてくれた。それが私の知る限りのロシア人の見方だ」

 日本人サポーターのゴミ拾いは世界で徐々に広まってきた。文化の壁を越えてどこまで広まるか。今後も注目してみてはどうだろうか。(本誌・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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