大東市では水道管が破裂し、水しぶきが噴き上がった(提供)
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 死者5人、負傷者400人以上の被害をもたらした最大震度6弱の大阪北部地震。これは果たして南海トラフ巨大地震の前兆なのか。検証した。

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 政府の地震調査委員会は今回の地震を「有馬─高槻断層帯」など三つの活断層に関連している可能性があると発表した。しかし、これらの断層帯のどこかで30年以内に地震が発生する確率は0%から3%。振り返れば、震度7を2度記録した2016年の本地震でも30年以内のマグニチュード(M)7.0級の地震発生確率は1%未満だった。地震予測はなぜこうも当たらないのか?

 地震調査委員会では今回の大阪北部地震を「有馬─高槻断層帯」「生駒断層帯」「上町断層帯」のいずれかが動いたものと捉えている。 しかし、この三つの断層帯で今後30年以内に大きな地震が発生する確率はそれぞれ0~0.03%、0~0.2%、2~3%と低かった。

 そもそも大阪府周辺の主要活断層帯で今後30年以内に大きな地震が起きる確率は、政府の地震本部によると0コンマ台が大半を占める。いわば近畿での内陸型地震はノーマークの状態だったのだ。国の地震調査研究費は16年度が112億円、17年度は63億円に上る。カネをかけている割にはさっぱり当たらない地震予測に対し、地震学者からも疑問の声が出ている。

『日本人は知らない「地震予知」の正体』の著書があるロバート・ゲラー氏(東大名誉教授、地震学)は、政府の予測を「問題だらけ」と指摘する。

「地震が起きるメカニズムは非常に複雑で、現在の科学で予知ができないのは地震学の世界的なコンセンサス。それなのに検証されていない計算式を使い、今後30年間で70%程度の確率で地震が起きるなどというハザードマップを作っている。これはもはや予言の類です」

 ゲラー氏によると、政府のハザードマップは(1)地殻にひずみがどれだけたまっているか、(2)地震が周期的に起きているかどうか、の二つの仮説に基づいて作られている。しかし、地震発生が周期的でないことは、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者たちによってすでに明らかにされているという。

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