事件当日、JR小田原駅は捜査員が出入りし、物々しい様子だった (c)朝日新聞社
事件当日、JR小田原駅は捜査員が出入りし、物々しい様子だった (c)朝日新聞社

 6月9日夜、東京発新大阪行きの東海道新幹線内で発生した殺傷事件から1週間近く経つが、助けに入った会社員梅田耕太郎さん(38)を悼む声は絶たない。

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 梅田さんのテニスサークル仲間だった40代の女性が本誌の取材に答えた。

「梅ちゃんはいつも笑顔で、みんなに気を遣う、明るくて優しい人でした。もうあの笑顔が見られないのかと思うと、犯人が憎くてなりません」

 テニスがうまく、東大卒でもある梅田さんは「文武両道のかがみ」のような人物だったという。

「それをひけらかす様子もなく、腰の低い謙虚な方でした。自己主張することもなく、相手の話をよく聴いてくれる紳士な態度でした。サークル内でも、和やかにテニスを教えてくれたり、1人でいると優しく声をかけたりしてくれました。そんな彼だから、新幹線内で襲撃された女性を守ろうとしたのだと思います」

 一方で、梅田さんの行動が「容疑者を刺激した」という一部報道を受け、ネット上では炎上騒ぎとなった。事の発端は事件翌日のフジテレビの情報番組「Mr.サンデー」。リポーターが、警察の捜査の見立てとして、「梅田さんが立ち向かったおかげで多くの乗客が助かった」という見方と、「梅田さんが立ち向かって容疑者を刺激して、最悪の事態を招いてしまった」という見解を報じたのだが、後者について、「伝える必要があったのか」などと批判が上がった。

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