日本は2002年の平壌宣言をしている。国交正常化なしの経済支援はあり得ない、拉致問題の解決なしに国交正常化もありえないという立場だ。

 しかし、安倍晋三首相はトランプ大統領から経済支援を強く要請されて果たして断れるだろうか。

 経済支援するとなったら、当然拉致被害者の家族たちや日本の世論からも強く反発が起こる可能性は高い。

 裵氏は今後、日本が拉致問題を解決できないまま、ずるずると北朝鮮から“財布”としてアテにされるだろうと予測する。

「北朝鮮がもし、日本と国交正常化することになったら、無償の植民地賠償金を貰うことを期待するでしょう。だからなのか、最近あまり日本の悪口を言わないですよね」

 では植民地賠償金を払えば、拉致問題は解決できるのだろうか。
「日本の世論を考えれば、拉致問題解決なしに国交正常化をやったら政権崩壊ですよね。あり得ないし、やってはいけないです。しかし、北朝鮮は拉致問題を解決する気があまりないと思います。日本の拉致被害者を返すとなると、世論がますます反発するし、ややこしい。韓国も拉致問題を抱えていますが、こちらも一向に解決していない。北朝鮮は韓国の拉致問題は存在すら認めていないのです」

 歴史的な会談も、日本にとっては難しい立場に追い込まれるだけになりそうだ。(本誌 大塚淳史)
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