女性の薄毛は概ね30歳ぐらいから気になりはじめる人が増えます(※写真はイメージ)
女性の薄毛は概ね30歳ぐらいから気になりはじめる人が増えます(※写真はイメージ)

「髪のボリュームがなくなった」「つむじが目立ってきた」など、女性でも密かに薄毛の悩みを抱えている人は少なくないはず。女性の薄毛は、男性よりも複雑で様々な原因やタイプがあります。治療法は確立されていませんでしたが、昨今は効果的な治療法が開発され、自分でできる改善法もあるといいます。女性の薄毛の特徴とそのサイン、治療法について専門医に聞きました。

*  *  *

 女性の薄毛はまさに千差万別。男性型脱毛症(AGA)のような「前頭部の生え際、頭頂部の毛髪が薄くなる」といった典型的な“ハゲ方”がありません。その多くは、頭髪が広範囲に薄くなる「びまん性脱毛症」というものです。しかしそのなかに、男性ホルモンが原因の「女性型脱毛症」、休止期(抜け毛の時期)の毛根の割合が増えてしまう「慢性休止期脱毛症」、そして加齢変化による薄毛があります。時にはそれらの症状が重なっていることもあるのです。

 順天堂大学医学部皮膚科学先任准教授で順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター皮膚科科長の植木理恵医師は、「女性の薄毛治療は、診断をして他の病気との鑑別が重要だ」と話します。
 
「ホルモンによる病気や膠原病、橋本病やバセドウ病といった甲状腺の病気でも髪が抜けます。貧血や急激なダイエット、拒食症などの栄養障害でも薄毛になりますね。10~20代の女性に多いです」

 女性の薄毛は概ね30歳ぐらいから気になりはじめる人が増えますが、悩みの訴え方にも個人差が大きいのが特徴です。加齢変化による薄毛は、更年期前の40代後半ぐらいから多くなります。

 時には生理不順や冷え性などの婦人科の病気を伴う場合もあります。その場合、婦人科での漢方薬の処方や適切な生活指導によって、それらの病気が改善すると薄毛も良くなることが多いのです。

 ちなみに女性の薄毛治療は、現状では外用薬(ミノキシジル、商品名リアップ)のみです。昨年、日本皮膚科学会から出された「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」で最も推奨される第一選択薬とされています。判別しにくい女性の薄毛ですが、どのタイプの薄毛でも概ねミノキシジルが効きます。

次のページ