日大アメフト部の内田正人前監督(写真/福井しほ・AERA dot. 編集部)
日大アメフト部の内田正人前監督(写真/福井しほ・AERA dot. 編集部)
日大で非常勤講師をしている志田慎さん(撮影/上田耕司)
日大で非常勤講師をしている志田慎さん(撮影/上田耕司)

 日本大学のアメフト問題では、ドイツ語の講師をしている志田慎(しだ・まこと)さん(50)に、関心が集まった。日大出身で約20年間、非常勤講師をしている

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 志田さんは、2学部で週10コマの授業を教えている。

 アメフト部の悪質タックルで問題になった前監督の内田正人氏(62)は日大の常務理事をようやく辞任したが、これまで人事担当として権力を振るってきた。

 そして内田氏ら幹部の差配で、2016年に三軒茶屋キャンパスに開学した「スポーツ科学部」と「危機管理学部」で、英語を担当した非常勤講師14人が、今年3月末付けで雇止めとなって職を失ったという。

 志田さんは授業のかたわら,首都圏大学非常勤講師組合の日大ユニオン準備会代表として、待遇改善に取り組んできた。
 アメフト問題で、日大の内田前監督の“独裁”が話題となり、非常勤講師の雇止めの問題もクローズされるようになったという。

「内田さんが人事部長になったのが2014年で昨年秋、人事担当の常務理事に就任しました。そして昨年10月から11月頃、約20人の非常勤講師から『雇止めを通告された』と相談を受けました。そして、今年3月末には実際に解雇になった。あまりにもひどい扱いで黙ってはいられない」

 日大企画広報部によれば、5月1日現在、大学院、学部、短期大学部において従事する非常勤講師は延べ3910人。実際に何人が解雇されたのか、実数は把握しがたいという。

「日大のキャンパスは、北は福島県郡山市から南は静岡県三島市まで、いろんなところに点在しているから。情報がほとんど入って来ない学部もありますので」

 内田前監督とは、一度も労使交渉の場で話す機会がなかったという。

「労使交渉に内田さんは出て来たことがないんです。経営側の代表として理事が最低一人は出るのが普通だと思うんですがね。日大はずっとそうで、課長クラスと弁護士くらいしか出てこないから、交渉にならない」

 志田さんによれば、日大では最終的に非常勤講師をゼロにする「ゼロ化計画」が進行しているという。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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