「私は日大と1年契約を毎年繰り返して、更新してきました。(有期労働の契約が通算5年を超えた場合、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換される)『5年ルール』に従って、今春、無期雇用への転換を大学に申し込みました。それでも、日大では数年かけて非常勤講師を減らしていき、最終的にはゼロにしたい計画があると聞いています。それに大学では第2外国語が必須ではないところが増えてきているので、私が担当しているドイツ語の授業も、この先、どうなるのか、不安ですね」

 志田さんによれば、日大の総授業数は約2万コマあるが、それを数年かけて2割削減され、その分、非常勤講師もいらなくなる可能性があるという。

 アメフト問題では、加害選手が謝罪会見を開いたり、学生部員が声明を発表し、世間の注目を集めた。

「私も日大出身のOB。後輩たちがよくやってくれているなと思っています。日大の人事は内田前常務理事のトップダウンで決まってきたから、これを機会に非常勤の雇止め問題にもメスが入って欲しい」

 日大に取材を申し込むと、文書で以下の回答があった。

──非常勤講師約20人に対して、雇止めを通告したというのは事実ですか?

「問われている対象校は、スポーツ科学部及び危機管理学部のことかと存じます。仮にそうであるならば、両学部において英語を担当した非常勤講師14名を平成30年3月31日付けで雇止めしたことは事実です。ただ現在、当該非常勤講師が所属する労働組合と本件で係争中につき、これ以上の回答は差し控えさせていただきたく存じます」

──人事担当の内田前常務理事は非常勤講師との労使交渉の席に一度も出席したことがなかったという指摘がありますが、本当ですか。どうして出席しなかったのでしょうか。

「本学では、団体交渉の出席者は交渉案件によりその都度決めており、当該組合との交渉案件については、事務職員で対応することとなったため、結果的に内田前常務理事は出席していなかったということであります」

──日大では約2万コマある授業数を数年かけて2割削減。非常勤講師を徐々に少なくし、さらに数年かけて非常勤講師をゼロにする「ゼロ化計画」を進めているというのは事実ですか。大学として、非常勤講師に対する今後の必要性はどのようにお考えですか。

「今後、非常勤講師をゼロにするといったことは一切考えておりません。専任教員だけで補えない部分は、従前どおり、非常勤講師の皆様の御助力を賜りたいと考えております」

(本誌・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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