行員らが不正な融資を通すために原本確認しなかった疑いは濃いが、スルガ銀は5月15日の決算会見でようやく「相当数の行員が改ざんを認識していた可能性」まで認め、あとは第三者委員会を設置して真相解明をゆだねることにした。

 今回の取材で驚くのは、国や都道府県の宅建免許を持つ不動産業者の中に、不正をいとわない不良業者がわんさかいることだ。これだけ社会問題化しても、監督する立場の国土交通省はろくに手を打たず、野放しの業者はまた次のもうけ話を画策している。

 金融庁は第三者委の調査結果も踏まえ、スルガ銀に厳しい処分を下さざるを得ない。昨年まで森信親長官が自ら「地銀の優等生」と持ち上げていた。現場への理解が足りなかったことを痛感していることだろう。

 ただ、本当の痛みを味わうのは素人のサラリーマン大家たちだ。彼らをカモに実体をともなわない不動産が異常な高値で売り買いされた「スルガ・バブル」。その崩壊は時間をかけて進行している。(朝日新聞記者・藤田知也)

週刊朝日 2018年6月8日号