今回の優勝賞金15万ドル(約1600万円)は、プロの活動資金にあてる予定だ。プロになると大会出場料も期待できるので、公務員としての給料がなくなっても、資金面はなんとかなりそうだ。

「これまでは公務員の規定により、レース賞金は受け取れても、出場料は受け取れませんでした。出場料は目玉選手となると1千万円近くになることもあります。ボストンで優勝した実績のある川内選手も、それなりの金額を稼げるでしょう」(酒井さん)

 2020年の東京五輪を目指すのか改めて注目されているが、川内自身は日本代表からの引退をすでに表明している。一方で、「プロとしてマラソンに集中し、本気で考えたとき、やれると思えるなら挑戦したい」と含みも残している。31年前にボストンで優勝経験がある瀬古利彦・日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーも五輪選考会に「出てほしい」と訴える。都内を駆け抜ける姿を本番で見られるかもしれない。(本誌・大塚淳史)

週刊朝日 2018年5月4-11日合併号