東大・京大・名大・九大など国立難関大入試で、合格者が最も多い高校はどこか。2018年の最新データでみると、1位は東京都内にある私立開成、2位福岡県立修猷館(しゅうゆうかん)、3位大阪府立北野だった。上位30校をみると、実力ある地方の公立高校の姿が浮かび上がる。
おなじみの東大・京大の合格者数ランキングだと、上位の顔ぶれは大都市部の私立高校が大半。そこで、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大も含めた旧7帝大への2018年の合格者上位30校を比較した(グラフ参照、週刊朝日2018年4月6日号などから作成)。地方のトップ公立高校が数多く並ぶ。
2位の修猷館は、かつての藩校の流れをくむ伝統校。今年は東大・京大に合わせて30人超合格し、九州大の合格者数で全国トップだった。福岡では、修猷館に加え、県立筑紫丘(ちくしがおか)と県立福岡が、「公立御三家」と呼ばれる。九大合格者数も修猷館の次が筑紫丘と福岡だ。
4位の札幌南は旧制一中、8位の札幌北は旧高等女学校で、ともに北海道の公立2大名門校。札幌南は東大・京大など道外の難関大志向の生徒が多く、札幌北は北大の合格者数が全国トップと北大志向が強い。同じく札幌市内にある札幌東と札幌西を合わせ、札幌の「東西南北」公立校が北大合格者の上位4位を占める。
5位の仙台第二(宮城)は東大・京大に計約30人合格し、東北大の合格者は約100人と全国トップ。旧制一中の流れをくむ仙台第一と長年のライバル関係だが、進学実績でみると第二が第一を上回っている。
9位の県立岡崎(愛知)は、トヨタグループのおひざ元の三河地区の進学校。今年は東大・京大に計50人近くが合格し、名古屋大にも70人超が合格した。
三河地区の岡崎に対し、尾張地区の名古屋市内にある公立名門校が、13位の県立旭丘。東大・京大の合格者は60人超と岡崎を上回り、県外の難関大志向が強い。同じ名古屋市内のライバル校が、7位の私立東海。県外の難関大志向がさらに強く、東大・京大の合格者数は70人近い。
15位の滋賀県立膳所(ぜぜ)は、第90回記念選抜高校野球大会出場でも話題の進学校。今年は京大に60人超、阪大に40人超合格している。
20位の私立西大和学園と24位の私立東大寺学園は奈良のライバル校同士。西大和は卒業生数が東大寺の約1・5倍のため、単純比較はできないが、新興の西大和が伝統ある東大寺を追い上げる構図が続く。
グラフで○印の高校は私立で、どこも東大・京大志向が強い。一方で、地方の公立は地元の旧帝大志向の強さが目立つ。近年は公立中高一貫校が増えたが、進学実績でみると、各県の公立トップ校が依然として強い。(本誌・中川透)
※週刊朝日 オンライン限定記事