──そうやって「ドラえもん」に親しんできた星野さんにとって、今回「映画ドラえもん のび太の宝島」の主題歌と挿入歌を担当するということには、どんな意味がありましたか?

 すごくうれしかったのと同時に、まず「ドラえもん」というタイトルで「大長編ドラえもん」そのものを歌いたいなと思ったので、かなりワクワクしましたね。「何者でもなくても 世界を救おう」という歌詞が書けた時に、それができたような気がしました。ヒーローじゃなくても、めちゃくちゃ強くなくても、普通の人たちだって、未来を作れるんだっていう。ひみつ道具もすべて人間の叡智(えいち)の力ですしね。普通の人間たちの物語なんです。そういう勇気を「ドラえもん」からもらってきました。

──実際、何者でもなかった星野少年が、こうやって「ドラえもん」に楽曲を提供するまでになったわけですしね。

 そうなんです。小さい頃から「ドラえもん」を見てきた、何者でもなかった自分が、未来に「ドラえもん」の曲を作るオファーをいただけたっていうことも、この歌詞とつながるというか。2017年はいろいろ忙しくて、わりと消極的な気持ちになってたんですけど、自分を変えよう、能動的にやっていこうと思ってから「ドラえもん」ができて、すごくいい気分で17年を終われたんですよ。だから自分で未来を変えられるんだっていうその時の気持ちも、ここに表れていて。

──間奏では、かつてテレビアニメ「ドラえもん」のテーマ曲だった「ぼくドラえもん」のメロディーが引用されています。

 発想としてはただの音楽的な理由で、あのメロディーが間奏で全く違うアレンジで急に来たらヤバいっていう、そこからなんですよね。普通は許してもらえないと思うんです、こんなこと(笑)。でも作曲した菊池俊輔先生に聴いていただいたら、喜んでくださったそうで、使用許可もいただけたんです。本当によかったです。

──一方でメッセージというか、今の「ドラえもん」世代とかつての「ドラえもん」世代をこの曲が橋渡ししているような、そんな印象も受けました。

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