「(セクハラで男性が萎縮し職場がギスギスすると)日本の国力低下に直結します」(杉田氏)とか、「情報工作員って、同性愛者の巣窟」(何故ならハニートラップにかからないから)と河添氏が適当なことを言えば「びっくりポン!」と杉田氏がふざけたり、「(日本のポルノには)レイプものなどが多い」と杉田氏が解説すると、河添氏が「その分野はワタシ、処女」と笑ったり。慰安婦、南京といった重たいテーマの合間に下ネタを所々に挟んでくるのだ。そもそも「慰安婦」問題は杉田氏に言わせれば、日本人はエロを人前で語るのを恥ずかしいと思っているので、そういう感覚のない中国と韓国に慰安婦問題をプロパガンダとして突きつけられ恥ずかしくて困っている、という解釈らしい。

 杉田氏、フェミ嫌いというよりは、ただ男好きでエロ好きなのかもしれない(全く問題ないです! 念のため)。そこには声をあげた女性の痛みも、人権も、歴史に対する誠実さもなく、フェミを憎むほどの思想もない。性暴力とエロの区別もつかないお粗末さで「慰安婦」問題を語る蛮勇は全て、日本=男(とエロ)を守る、という大義名分で担保されている。この国と相思相愛になりたいのならば、性暴力を性暴力だと声をあげた女を叩くのが一番早い道なのよ。そんな気軽さで。

“愛国奥様”が国会議員になる時代。これがもう、底、と思いたい。

週刊朝日  2018年2月16日号

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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