首都圏で人気が高まるMARCHで増加率が高かったのは立教大。昨年比で33%増加した。特に3教科型の文系学部で大きく伸びており、文学部では48%増、観光学部では119%も増えた。センター試験の結果に加え、英検など外部の英語試験結果を利用できる仕組みを全学部で導入している。広報担当は「最近は外部の試験を利用する受験生が増えており、志願者数を押し上げた」とみる。

 関西勢では近畿大が32%増と増加率が高かった。センター利用入試の合格者数を増やしており、志願者増につながったようだ。

 センター利用入試と一般入試の志願者を合わせると、私立大の志願者は前年より増えそうだ。早稲田大や慶應大など難関校の文系学部では、競争が激しくなりそうだ。

 河合塾教育情報部チーフの岩瀬香織さんは「私大の志願者数は全体的に増えており、10万人以上を集めている大学は6校ある(2月2日取材時点)」という。

 4月から新たに開設する大学や学部、学科も複数ある。石原さんは近年の動きについて、こう分析する。

「従来の学部のままでは、受験生にアピールしにくくなってきている。多くの大学が地元自治体と連携を深めているなか、改革を進めないと評価されません」

 新設される公立小松大では全体の志願倍率(A日程)が7.4倍と受験生の関心を引きつけている。特に保健医療学部看護学科は11.3倍と高倍率だ。高齢化で看護師のニーズは高まっていて、ほかでも看護系の学部・学科をつくる動きが広がっている。

 横浜市立大はデータサイエンス学部の倍率(前期)が7.4倍。最近話題の「ビッグデータ」などを扱う学部で、この分野の人材不足に対応している。

 九州大では共創学部が新たにできる。学部の新設は約50年ぶりで、文系と理系の枠を超えたカリキュラムに特徴があり、幅広く受験生を集めた。65人の定員(前期)に204人が志願し倍率は3.1倍となっている。

 お茶の水女子大など心理学科を設けるところもある。国家資格である「公認心理師」の試験が今年から始まることもあり、将来活躍の場が広がるとみられている。

 加計学園が運営する岡山理科大の獣医学部獣医学科の一般入試は多くの志願者を集め、倍率は21.5倍になったようだ。

 志願状況の集計はこれから進み、倍率が確定していく。受験生にとってはライバルの数が気になるところだが、一度出した志願先は変えられない。国公立の2次試験は2月25日から始まる。実力を出せるよう落ち着いて頑張ろう。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日 2018年2月16日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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