センター利用入試の志願者が増えた立教大(c)朝日新聞社
センター利用入試の志願者が増えた立教大(c)朝日新聞社
難関国立大の志願状況(週刊朝日 2018年2月16日号より)
難関国立大の志願状況(週刊朝日 2018年2月16日号より)
私大センター利用入試志願者ランキング(週刊朝日 2018年2月16日号より)
私大センター利用入試志願者ランキング(週刊朝日 2018年2月16日号より)
2018年度に新設・改組される主な大学・学部(週刊朝日 2018年2月16日号より)
2018年度に新設・改組される主な大学・学部(週刊朝日 2018年2月16日号より)
2018年度に新設・改組される主な学科(週刊朝日 2018年2月16日号より)
2018年度に新設・改組される主な学科(週刊朝日 2018年2月16日号より)

 国公立大2次試験の願書受け付けが1月31日に締め切られた。文系学部が理系より人気の「文高理低」の傾向は今年も続いていて、経済や社会、国際系の学部に志願者が多く集まっている。志願者数は全体では約1万人減ったが、文系の激戦は必至だ。

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 文部科学省が1月31日に発表した国公立大の出願状況(同日15時時点)によると、2018年度の志願者数は約44万5千人。前年に比べ、国立大の志願者は約9千人、公立大は約1500人減っている。全体の志願倍率は国立は4.0倍、公立は5.9倍で前年から微減しそうだ。

 学部では経済や社会、国際系で志願者が堅調だ。一方で、教員養成や理工、農林水産系では伸び悩んでいるところが目立つ。大手銀行や商社など、みんなが行きたがる企業に就職しやすいとみられている学部の人気が高まっている。

 書類審査や面接などで選考するAO入試や推薦入試の募集人員を増やしているところも多い。一般入試の受験生にとっては枠が狭まることになり、志願者が減っても倍率が高止まりする要因にもなっている。

 旧帝大など難関国立10大学の志願状況をみてみよう。目を引くのは、前・後期とも志願者を増加させた東北大。研究力が高く、東京大、京都大とともに「指定国立大学」に認定されたのが評価されたとみられる。大阪大は前年倍率が下がったことの反動とみられる。

 駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは、北海道大の前期の志願者増についてこうみる。

「北海道は地元志向が強い地域。今年のセンター試験は波乱がなかったので、志望者が北大を変更せずに出せたのではないか」

 一橋大では社会学部の志願者(前期)が前年比で32%増で、倍率も3.1倍から4.0倍に増えた。後期では経済学部が26%増で、倍率は15.9倍から20.0倍と難しくなっている。

 全国でみると、医学や薬学、獣医学など、定員が少なく将来専門の仕事を目指せる学部の倍率が高くなっている。

 私大の志願状況も見ていこう。近年はセンター試験の結果を利用した入試方式が増えている。1月16日以前に出願を締め切ったセンター利用入試(前期)の志願者数を、教育情報を発信する大学通信がまとめた。志願者数上位10校の結果を見ると8校で昨年より増えている。

 大学通信常務の安田賢治さんの分析はこうだ。

「去年、各大学が定員厳格化で合格者数を絞ったことで、多くの受験生が落ちました。そうした状況を見ているので、今年の受験生は併願校を増やしているのではないでしょうか。また、文高理低で文系学部を多く持つ私大の志願者が増えていることも考えられます」

 1位の東洋大は志願者が20%増え5万人を超えた。キャンパス移転、学部の新設、ネット出願などに力を入れており、入試担当者は「改革力が高校の先生に評価された」としている。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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