新型インフルエンザ対策の病院実働訓練 (c)朝日新聞社
新型インフルエンザ対策の病院実働訓練 (c)朝日新聞社

 インフルエンザの季節を迎えた。だが、今シーズンは何かが違う。

「ここまでワクチンが足りなくなることは、ここ何年かでは記憶にありません」

 と困惑するのは、呼吸器科医で和光駅前クリニック(埼玉県和光市)の寺本信嗣医師だ。今でこそ十分に対応が可能だが、12月上旬までワクチンはほとんど入荷せず、希望者に断る時期が続いた。

「お子さんの場合、本来は2〜4週間の間隔で2回接種しなければならないのですが、1カ月たっても2回目が接種できないケースもありました」

 ワクチンの供給不足はなぜ起こったのか。ワクチンは鶏卵のなかでウイルス株を増やし、それを精製して作られる。国立感染症研究所などによると、厚生労働省が今シーズン流行すると予測した株の培養の効率が悪く、新たに別の株を選定し直した。そのため、ワクチンメーカーの製造が遅れ、供給不足に陥ったという。

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