芸能評論家の三杉武氏は安室が2015年に事務所を移籍し、独立したことに触れ、

「独立して数年のこのタイミングで引退というのには驚きました。ただ、子供が成人するまでは頑張ろうという思いもあったようですし、母親としての責任を終えて、燃え尽き症候群のような感じになったのでは。今年7月に独立騒動、家族の無断撮影などをめぐり、一部メディアを提訴するといったこともあって、プライベートを詮索されてしまう長年の芸能生活に疲れていた部分もあったのではないでしょうか」

 数々のヒット曲で日本の音楽シーンを支えてきた安室。引退は1年先とはいえ、すでに復帰を望む声もある。一部業界筋からは、「復帰する可能性は十分ある」との声も聞かれるが、石川氏は芸能界復帰はないと読む。

「母親の痛ましい事件があった後も、自身で決断を重ねて仕事をしてきた強い人なんです。今回も強い決意があると思います」

 中森氏は寂しげに語る。

「これまで当たり前のように存在し、他人とは思えない、ある種『国民の娘』のように思われていた安室さんがいなくなるのは寂しいですね」

 11月にはデビュー曲から最新曲までを収録したベストアルバムの発売が決定。アジアツアーも予定されている。「平成」の新元号を発表した故小渕恵三元首相が尽力した九州・沖縄サミットのイメージソングを歌い、そして、平成という元号に別れを告げる年に、表舞台から去る。「最後にできる限りの事を精一杯し、有意義な1年にしていきたい」。平成の歌姫のラストメッセージに期待したい。(本誌・秦正理)

週刊朝日 2017年10月6日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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