一方、不動産鑑定士の松本智治氏は「総合的に試算すると、頭金はできるだけ多く借入金額はできるだけ少なくするほうが得」と異なる見解だ。

 新築がいいのか、中古がいいのかという点について、松本氏は「住宅の資産性の観点から、築浅の中古を薦めたい」と話す。特にマンションの狙い目は「2010年以降販売された築浅中古が最も適している」とアドバイスする。「築年数が浅いので、新築物件に近い居住性があり、築年数を経ていないうちは毎月の修繕積立金が低く抑えられる利点がある」(松本氏)

 さらなるポイントは何歳の時点で買うかという点だ。岡本氏はこう指摘する。

「30代と50代では余命を考慮すると人生設計が異なる。30代は金利が安い今、あと50年住む観点で買ったほうが得です。50代であればあと30年と考え、中古の手頃な駅近マンションのほうがメリットはある。50前後の年齢であれば、むしろ賃貸のほうがプラス面が大きい」

 松本氏は「銀行の融資姿勢で不動産価格の下落は予測できる。金融機関の融資姿勢が厳しくなると、価格は全体的に値下がりする。融資の意向に左右される点を判断材料の目安にすることが大切です」とも。

 不動産経済研究所が今年7月18日発表した首都圏の上半期新築マンション平均価格は約5900万円で、バブル末期の1991年(約6450万円)以来の高水準となった。「背景には人件費の高止まりと都心の地価高騰がある」(同研究所)のが現状だ。

 これを踏まえ、専門家3氏に今は資産を生む家の“買い時”か聞いてみた。

 大久保氏「今後、東京五輪開催前後の時点で下がる可能性があり、今は買うタイミングではないかもしれない」

 岡本氏「五分五分です。現在はマイナス金利なのでローンを組む人は買ったほうがいい。現金で買う人は待ったほうがいい」

 松本氏「安く購入するべき。もうちょっと待ったほうがいい」──との見解。

 3氏は最終見解として「立地と利便性を考慮すれば、家はずばり資産になります!」と強調した。(本誌・村上新太郎)

週刊朝日 2017年8月11日号より抜粋