同省によると、今年7月1日時点で、適正化計画を作成し、具体的な取り組みをしている市町村は112ある。

「除雪費用を削減するためコンパクトシティを強く推進する青森県弘前市、バス路線の過当競争を抑え路線一本化を進めた岐阜市が資産価値を維持できる施策を行う目立った自治体です」(同)という。

 大久保氏も【1】電車の駅から徒歩圏内【2】バス停から幹線道路まで徒歩圏内【3】駅から遠くても、オフィスや大型ショッピングセンターがあるエリアが目安となるとして、具体的に「代表的なのは茨城県つくば市と川崎市。愛知県安城市、滋賀県草津市、沖縄県うるま市なども資産価値が増す有望地方都市です」と語る。

 逆にコンパクトシティと他の地域とで資産価値の二極化が生じているのは純然たる事実だ。

「家主は売る、貸す、長期滞在施設として使用するなど方策を考えるべき。全国の多くの自治体も危機感を持って、福井市や富山市などは積極的に人口減少対策を立案、実行しています。自治体の施策、その成果をインターネットなどで調べ確認することが大切です」(前出の岡本氏)

 八王子在住の40歳の大学講師は、新潟県の地方都市にある亡くなった祖父母の「ごみ屋敷状態」だった空き家を最近、貸し出した。「固定資産税や維持管理費で年間数十万円かかったので、少しでも賃貸料を稼いだほうがいいと判断しました」(大学講師)。岡本氏は「賢明な選択。空き家の持ち主は何らかの手を打つべきです」と強調する。

 では資産になる家を持つためにはどうしたらいいのか。大久保氏は自分の家の価値を見極めた上での住み替えを提唱する。

「不動産業界の常識として買い時は景気の悪い値下がり期。売り時は景気の良い値上がり期が基本です。景気の波に合致して住み替えをして、得られる利益を元手に、より立地の良い場所に移り住むことを繰り返し、資産を増やしていく」

 さらにマンションと一戸建ては、どちらが資産になりやすいのか?

「どっちもどっち。万人受けするマンションは流通性は高いが、建て替え、売却が自由にできるのは使い勝手のいい一戸建てです。自己資金ゼロでも早く買ったほうがお得」(大久保氏)とアドバイスする。

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