2040年の人口が増えると予想される市区(週刊朝日 2017年8月11日号より)
2040年の人口が増えると予想される市区(週刊朝日 2017年8月11日号より)

 エリアによっては、1千万円以上の売却益生む物件もある都心の不動産。しかし、それは都心に限ったことではない。不動産の取引に詳しい不動産コンサルタントの岡本郁雄氏、住宅情報誌編集長などを務めた住宅コンサルタント・大久保恭子氏によれば、地方であっても資産となる物件はあるという。

 それでは、全国に視野を広げてみよう。大久保、岡本両氏に共通している意見は、資産価値が高いのは「人がこれから増える場所」。

 しかし、推計によると、2040年に2010年と比べて人口が増えると予測される市区は愛知県名古屋市、神奈川県横浜市、福岡県福岡市、埼玉県戸田市など。日本全国で割合を換算すると、約6%しか人口が増えないのだ。おおまかな傾向としては、大都市の中心部と周辺住宅地が人口増加地域となっている。

 大久保氏は、以下の3点のポイントを力説する。

【1】15~64歳の生産年齢人口が多いところ。カギを握るのが20~30代の女性が集まる場所。先々、結婚・出産で子供の数が増える好循環で人口が増える可能性が高い
【2】IT産業や情報サービス産業などが立地する場所。高収入で多忙な働き手は職住近接を志向する
【3】単身世帯の増加で「一人家族の多いところ」は資産として安定的

 また、資産価値が下がりにくいという観点から、大久保氏は「歩く人の多い街がいい」とも指摘。「歩いて用が足せるということは便利で多くの人々で賑わう。バスや電車、地下鉄などの公共交通機関が発達している証しでもあります」とも言う。

 一方、社会問題化している、地方を中心とした全国約820万戸に達する空き家──。実家の空き家は資産にならないのか?

 大久保氏は「空き家地域は不便な生活エリアで、人は住みたがらない。需要が少ないので価値は上がらない」と指摘。

 だが、「歩ける街づくりは地方でも始まっている」とも言う。国土交通省は近年、「緩やかに住民の居住エリアを広域化した市街地に寄せ便利に暮らせるようにする『コンパクトシティ』(立地適正化計画)を推進し始めています」(住宅局)。

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