掛け金の上限額は対象者によって違う。自営業や無職の人らは月6万8千円。専業主婦は2万3千円、公務員は1万2千円などだ。

「余裕があるなら上限額まで積み立てたほうがいい。全額所得控除になる制度はほかに少ないので、優先的にお金を回したほうが得だ。余裕がないなら、下限額の5千円で続けられる。加入期間が長いほど、受け取るときに税金上有利になってくる」(篠田さん)

 もちろん注意点もある。加入者が亡くなったり障害を負ったりするなど特別なことがない限り、60歳まで掛け金を引き出せない。無理をすると、急な出費に対応できなくなる。

 各種の手数料もかかる。加入時に2777円とられ、固定費が月167円(年間2004円)必ずかかる。そのうえ、金融機関が設定する管理手数料も必要になる。取り扱う金融機関は200社以上あり、顧客を獲得しようと、値下げ競争が起きている。ネット専業の楽天証券SBI証券は5月、管理手数料をゼロにすると発表した。ほかにも資産額など一定の条件を満たせばゼロにするなどの企業もある。サービス内容を比較して、金融機関を決めるようにしたい。

 重要な注意点として、投資額より受取額が減る「元本割れ」のリスクがある。投資信託や定期預金、保険など、どの金融商品にお金を振り分けるかは自分で決めないといけない。その結果は自己責任だ。

 リスクを避けようと、定期預金や保険など元本確保型だけを選ぶ人もいる。ただ、こうした商品は、日本銀行のマイナス金利政策もあって、利回りが非常に低い。1万円を運用して年利が1円程度にしかならない状況だ。固定費は必ず年2004円かかるから、掛け金が徐々に目減りする。

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