国内外の株式の投資信託などは元本割れのリスクがあっても、うまくいけば高い利回りが見込める。「ハイリスク・ハイリターン」と、「ローリスク・ローリターン」の商品を組み合わせることで、自分の運用目的に合った資産構成(ポートフォリオ)にすることが大事だ。篠田さんも積極的な運用の必要性を指摘する。

「大切なのは数十年後のゴールを見据えて、長期の視点で運用すること。30~40代のうちは、株式の投資信託を中心にリスクを取ってしっかり増やす。08年のリーマン・ショックのような経済危機は今後も起こりうるが、それは一時的なもので長期的に見ると回復する。短期的な勝ち負けではなく、数十年かけて資産をどう増やすか考える。年齢が上がれば、ローリスクの商品中心に変えていけばいい」

 これまで投資信託を一度も買ったことがない人は、商品選びが難しいだろう。そうした人には、国内外の株や債券、不動産などに分散投資する「バランス型」がおすすめだ。相場が急変しても、大きな損失が発生しにくくなっている。

 60歳になって一時金を手にしようとしたとき、経済危機で運用成績が悪化している可能性もある。その場合は、もらうのを先送りして70歳まで運用を続けることができる。

 イデコに加入してもさらに余裕があれば、少額投資非課税制度(NISA)を活用することもできる。掛け金の所得控除はないが、5年間は運用益に税金がかからない。イデコで扱っていない個別株式も買えるので、よりハイリスク・ハイリターンに挑戦できる。

週刊朝日 2017年8月11日号