個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは(週刊朝日 2017年8月11日号より)
個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは(週刊朝日 2017年8月11日号より)

「iDeCo(イデコ)」。今年に入ってこの言葉をよく目にするようになっている。個人型の確定拠出年金(DC)の愛称で、加入できる人が1月から一気に広がった。それまでは企業独自の年金がない会社員や、自営業者ら約4千万人が対象だった。今は専業主婦や公務員らも含めて約6700万人と、20歳以上60歳未満のほぼすべての人が入れるようになった。

 確定拠出年金は、国民年金や厚生年金のような公的年金に上乗せできる私的年金の一つ。毎月の掛け金の運用方法を自分で決め、60歳以降にもらえる給付額は運用成績で変わる。個人型というのは企業が掛け金を出す「企業型」もあるからだ。大企業の会社員は企業型に入っている人も多いので、確認しておこう。

 イデコはブームになりつつある。加入者は昨年12月時点で約31万人だったが、今年5月では約52万人となった。最大の理由は税金が“お得”になること。積み立てた掛け金は全額が「所得控除」され、所得税や住民税が軽減される。

 例えば年収500万円の人が毎月1万円を積み立てた場合、年間で約3万6千円分のメリットがある。年収1千万円だと約5万1600円だ。

 運用益も非課税だ。通常は20.315%の税金がかかる。仮に1万円の運用益が生じても、2031円を引いた額しか手に入らない。イデコはずっと非課税で、複利の長期運用で大きなメリットを受けられる。

 さらに60歳以降に受け取るときに一定額まで非課税となる。一時金として受け取る場合は、退職所得控除が適用される。30年積み立てると、ほかの退職金と合わせて1500万円まで税金がかからない。65歳から年金で受け取る場合は、公的年金と合わせて年120万円まで非課税だ。

 楽天証券経済研究所の篠田尚子ファンドアナリストは、説明会で税金に関する質問が相次ぐなど、盛り上がりを感じている。

「税金が絡んでくるとみんな真剣になる。『ふるさと納税』も広まり、節税が意識されるようになった。質問では『住宅ローン減税を受けているが大丈夫か』といったものもあった。直接は関係ないので、幅広い人が節税メリットを受けられる。イデコを始めることで、多くの人が税金のことを考えるきっかけになればいい」

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