家電量販店のヨドバシカメラは昨年9月、都内23区などで「ヨドバシエクストリーム」サービスを始めた。注文商品を配送料無料で最短2時間半以内に届ける。家電や日用品だけでなく、お菓子やインスタント食品も買える。生鮮野菜はエクストリームサービスの対象外だが、「将来的には考えている」という。

 イオンやイトーヨーカドーなど大手小売業もネットスーパーを強化している。

 生鮮野菜を産地から届ける宅配事業も成長分野だ。らでぃっしゅぼーや(東京)は会員数が20万人弱で、この10年で2倍以上に伸びた。売上高は約200億円で業界トップクラス。

 昨年12月から利用している都内の30代の主婦は、共働きで子育て中の家庭にとって便利だという。

「3歳の娘がいてスーパーでの買い物が大変だったので、家まで届けてくれるのがありがたい。安くはないが、安全、安心をうたっていて、おいしいので満足。いまはスーパーでの買い物はほとんどしない。『ママ友』も野菜をネットで買う人が多い」

 オイシックス(東京)は会員数が14万人弱で、売上高は約230億円。野菜の宅配事業の草分け的存在である大地を守る会(千葉市)と10月に合併する。

 オイシックスの会員で都心に暮らす40代の夫婦は、季節感のある野菜が食べられることを評価する。

「素材にこだわろうと、利用するようになった。月に3万円ほどかかるが、野菜の季節感を知ることは子供にとっても勉強になる」

 JA全農はネット直販サイト「JAタウン」を運営する。野菜や果物などを扱い、16年度の全体の売り上げは前年度より3割増えた。野菜の買い方が多様化するなか、「ネット通販のプラットホームを提供し、新たな販売チャネルの創出をめざしている」という。

 うどんチェーン「丸亀製麺」を運営するトリドールホールディングス(神戸市)は、子会社のバルーン(東京)を通じて新規参入した。2月から有機野菜のセットなどを販売。20年3月末までに、売上高100億円をめざす。バルーンの志水祐介社長はこう話す。

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