「食材関連の通販は家電や書籍に比べて規模がまだ小さく、成長力がある。アマゾンフレッシュによって、ネットで食品を買うことの抵抗感が少なくなり、市場の活性化も期待できる。外食企業として、その場で料理をつくることの臨場感や体験価値を、ネットの世界でも実現していきたい」

 ネット通販は、若年層を中心に広がるが、高齢者にも便利な面がある。足腰が弱って買い物がおっくうになり、インスタント食品や缶詰に頼りがちな人こそ使い出があるかもしれない。

 活用術はいろいろある。通販は大量に買う必要があるとのイメージだが、ほとんどの会社は「にんじん1本」など少量から注文を受け付けている。一人暮らしでも自分の必要な分だけを買える。配送料がかかる場合もあるが、買い物の手間やコストを考えれば、必ずしも高くないとも言える。

 ネット通販は、注文者の住所と届ける場所が違っていても構わない。買いたいとき、離れて住む子や孫に欲しいものを伝えて注文してもらうこともできる。頼むついでに、家族との会話を楽しめるかもしれない。

 最近は大手だけでなく、地域のスーパーも宅配を強化している。使い慣れたスーパーに一度確認してみるといいだろう。普段は店舗で買い、体調の悪いときや雨の日は届けてもらうこともできる。

 らでぃっしゅぼーやは70代以上の顧客も多い。ネットを使いにくい人向けにカタログを配り、電話注文も可能。自社配送のため、基本的にいつも同じスタッフが届けてくれて安心だ。

 野菜セットを定期的に届けるサービスも、各社が展開する。ネットが使える人に一度設定してもらえば、後は受け取るだけでいい。

 野菜は種類が豊富で食べたことがないものもあるが、調理法はネットで紹介されている。オイシックスは「20分で主菜と副菜が作れる」というレシピ付き献立キットも販売している。

 ネット通販の今後の成長は間違いないが、小売店側も頑張っている。イオンなど大手は農業に参入し、自ら野菜を育てる。深夜営業する食品専門の小型スーパーを都市部に出して、若い世代を取り込む動きもある。

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