安藤氏は、怒りの感情とうまくつきあう心理トレーニング「アンガーマネジメント」のプロ。米国で開発された手法で、大手企業も研修に採用しているという。

「野球や料理と同じで、技術を身につければ、誰でも怒りをある程度コントロールできる。怒ること自体は自然な感情で、問題ない。怒るべきことと、怒らないでよいこととを適切に区別できないことが、問題なのです」(安藤氏)

 区別のカギは、「後悔」を基準に考えること。怒ることで後悔しそうならば、やめたほうがよい。また、怒ることで相手を変えられるならば、労力をかけるとよい。相手や現実が変わらなければ、怒っても無駄だ。

 例えば、渋滞にはまったとき。どう怒りをぶつけても渋滞の現実は変わらず、受け入れるしかないはずだ。「私たちが怒るのは、自分の信じている『~すべき』ということが目の前で裏切られたときです。期待が強いほど、怒りも大きくなる。『あの人ならわかってくれると思っていたのに裏切られた』などとそのつど怒ると、疲れるし、人が離れるでしょう。しがみついて生きると、怒ることだらけになってしまいます」(同)

 怒りの衝動を抑えるには、「イラッとしたときに余計なことを言わない。『反射』しないこと」が必要。これを習慣づければよいという。 さらに、キレた人に、「でも」「だけど」などの言葉は禁句。すぐに反論せず、時間を置いてから話すほうが建設的な関係を築ける。

 怒りを制御できると、人間関係は楽になるのだ。

週刊朝日  2017年6月9日号