村田諒太、「ヘタレで気が弱い」と自己分析 今求める“世界一”への思い

2017/05/19 11:30

 僕はボクシングが好きで好きで、これ以外の道で生きていくことは考えてなかった人生を歩んできた。金メダル取って満足してしまった時期も正直ありました。でも、五輪前年に目標設定表というのを勝手に作成して、「プロで世界を取る」と書いていたことに気づいたんです。オリンピックで終わっていたら、そこまでの知識しかないわけです。それで夢にかけてみようと思った。金メダリストとして、プロの世界で観客の前でどう戦うのか。心の持っていきかたとか、デビューして4年間、いろいろ学ぶことができて、狭い世界観で終わることがなくてよかったなと思ってます。

──アマとプロの違いは感じましたか。

 それは大きいですね。僕は以前、アマチュアはプロの上でも下でもないと思ってました。でも結局、人間は自分が存在している世界を何か価値があるものとしたいと思うわけです。金メダリストの僕は金の価値を最大限にアピールしたいこともあるでしょうし、プロになって、僕自身、世界の価値があるんだと思いたい。プロでいろんな人に支えてもらってます。一回走りだした道なんで、途中で降りますというわけにはいかないというのが実感です。

──2008年に北京五輪代表を逃したときを含め、過去4回も引退宣言しています。

 当時はどっかで、世界の一流どころには勝てないと思ってたんで、あきらめて本気になってなかった。世界の一流選手にボコボコにされて、自分の存在意義を打ち壊された。練習終わったら、毎日気晴らしに遊びに出掛けて、安易に酒飲んで周りに迷惑をかけたこともありました。

──ロンドン五輪前は新約聖書を読んでリングに上がったそうですが、最近、感化されるようなことに出会いましたか。

 ニーバー(米国の神学者)の祈りがあるじゃないですか。「神よ、変えることのできるものを変える勇気と、変えられないものを受け入れること、それを分別する知恵を与えたまえ」という有名な言葉。フランクル(オーストリアの心理学者)は「人生に意味を求めるのではなくて、人生のほうからの問いに対し自分が答えるんだ」と説いてます。アドラー(オーストリアの精神科医)の思想をまとめベストセラーになった『嫌われる勇気』も同様の趣旨を盛り込んでいると解釈してます。結局、ニーバーらは今の自分に何ができるか考えなさいと説いている。仏教的な考えとも言えます。今、自分が何ができるかが大事なんだと思うようになりました。

──ボクサーらしからぬ哲学的な分析ですね。

 変わっている性格だと思いますよ。趣味は読書ですから。父親の影響が大きいです。ニーチェとか哲学書を読んでいた父の記憶がありますから。

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