菊池桃子さんが「働く母親にとってPTA活動の負担は大きい」などと発言し、大きな話題となった  (c)朝日新聞社
菊池桃子さんが「働く母親にとってPTA活動の負担は大きい」などと発言し、大きな話題となった  (c)朝日新聞社

 新学期がやってくる。そしてPTA活動も始まる。子供たちが豊かな学校生活を送れるように、保護者と教師とが協力する姿勢は評価できる。だが、なぜかPTAへの不満は噴出するばかり。強制参加や非効率で無駄に過ぎていく時間の使い方など、解決の糸口すらないのか。

「PTAはつぶしたほうがいいですよ。そのほうが子供のためになります。本部役員を長くやりましたが、子供にいい影響どころか悪影響しかありませんでした」

 語気鋭くそう話すのは、PTA発祥の地であるアメリカからの帰国子女で、2人の子供を持つ40代のOさんだ。

 PTA(Parent-Teacher Association)は、児童・生徒のために保護者と教職員で組織された任意団体で、戦後GHQの指令で全国の学校に設置された。

 しかし実態は、子供のためという目的から大きくかけ離れている、とOさんは続ける。

「まず子供のために使われていないお金が多すぎます。保護者と先生、PTA連合会の方々との交流会とか、保護者のために開いた講演会の講師料とか。そんなことにお金を回すなら、もっと子供のために使ってよ、って」

 最も嫌悪感を覚えたのが、ゆがんだ人間関係だという。

 PTAには必ず個人攻撃をする人がいて、連絡網がメーリングリストの時代になってから、関係ない人までメールを送りつけられトラブルに巻き込まれることがよくあったと振り返る。

「聞いてもいない人の悪口や噂(うわさ)話がよくメールでまわってきました。『○×さんの能力が低いせいで私たちがどんなに迷惑をこうむっていることか!』といった特定の個人を誹謗(ひぼう)中傷する長文メールを、関係者だけでなくわざと間違ったフリして本人に送りつけたりする。

 子供がトラブルを起こすと、あの親だから、ああいう家庭だから、と言われるのがオチです。役員になって暴走するお母さんも多かった。弁護士を雇って、相性の合わない会長を引きずり下ろそうとした人もいました」

 こんなもめ事だらけのPTAの内情は、とても子供に話せるものではない。

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