「しかし、子供も敏感ですから、親や先生たちが険悪なムードになると察しますし、気にします。それって本末転倒ですし、方向性が間違っていますよね。節度を守れる保護者が子供のための活動を堂々とできないのなら、PTAなんてないほうがマシなんです」

 現在、Oさんの2人の子供は私立中学に通い、PTA活動には関わっていない。

「PTAにはもう二度と関わりたくないですね。役員を卒業したらなるべく早くPTAのことを忘れること。それは精神衛生上とても大事です(笑)」

 となると気になるのは、現場の渦中にいる人たちの心理状態だ。さっそくアンケートをとったところ、悲鳴にも似た不平不満の声がこれでもかと噴出した。

 PTA問題の原因のひとつは、タレント菊池桃子さんの「PTAは任意」発言が多くの共感を呼んだように、本来は任意のボランティア団体であるはずのPTAが義務化して、保護者を強制的に追い詰めてきた従来のやり方である。

 アンケートもその問題に関するコメントが目立った。

「子供が精神的に病んで入院していても『全員参加です』の一点張り」(40代女性)、「役員経験者は『自分も我慢したのだからみんなも我慢すべき』と強く思っているから、次の誰かに押しつけて、の負の連鎖です」(40代女性)、「小中ともに自動加入だった。入学式後に役員決めがありましたが、入り口に立つ本部役員が出ていこうとする保護者に『なぜ出るのか』と聞く始末」(30代女性)

 人間関係のトラブルや会費の使い方に関する次のような不満の声もあがった。

「逆らうものはいじめ抜きます。脅威を感じる保護者に対しては、ミスを見つけ次第つるし上げ、呼び出すなどヤンキーの世界顔負け」(40代女性)、「やっていない人への陰口がひどく、気が滅入(めい)った。罰ゲームかと思った」(50代女性)、「先生との社交(餞別[せんべつ]やお礼など)に偏りがち」(60代以上男性)、「研修イコール必ず飲み会。研修報告も何がおいしかったとかの内容が多かった」(60代以上男性)

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