──沢村さんはそんな柴咲さんの姿に影響を受けて、ロケの後、しばらく禁酒されたとか。

 自分がストイックな時期だったので、沢村さんに対しても「お酒、抜いたほうがいいですよ」とか言ってましたね(笑)。私、忌憚なくというか、ズケズケとモノを言っちゃうタイプなんです。それを受け入れてくださるのは、沢村さんのお人柄です。

──ストイックな生活も楽しめてしまう?

 期間が決まっているからできるんです。大河ドラマは長丁場とはいえ1年と決まっていますから、その間はルーティンを楽しもうと思っています。平日は自己管理を徹底する代わりに、オフの日はずーっと寝ています。自然に目が覚めるまでは起きません。

──俳優として20年近いキャリアをお持ちですが、デビュー当時と比べ、仕事に対する思いは変わってきましたか。

 私が芸能界の仕事を始めたのは、早く仕事をしてお金を稼げるようになりたかったからなんです。でも実際に仕事を始めてみると、ふがいないときや期待に応えられないことがあり、「次はこうやろう」と思っているうちに、やりたいことがどんどん膨らんでいきました。今もできないことがいっぱいありますが、浅かった自分の器が少しずつ削られているかなと思います。

──仕事上、目標としていることはありますか?

 具体的なものはありませんが、見る人にどうやって感じてもらえるか、ですね。私にとって一番経験のあるツールが俳優なので大切にしたいですが、それ以外のもの、たとえばアーティスト活動も大切にしたい。二つ以上の選択肢があってもいいと思うんです。私は欲張りで飽き性だから、いろんな面を持ちながらキラキラと輝いていたい。それが理想ですね。大河ドラマにも、またぜひ出たいです。

──早くもですか(笑)。それは今、撮影を楽しんでいるからでしょうか。

「もっといいものを作ろう」という思いのもとに全員が集結していて、それぞれがご自分の仕事を全うされている。一緒にお仕事をしていて、すごく気持ちがいいんです。私はNHKドラマに出演するのは初めてですが、さすがだなと思いました。50歳、60歳と年齢を重ねて、また違う立場で出演する日が来るのが、今から楽しみです。(取材・構成:野村美絵、鮎川哲也【本誌】)

週刊朝日  2017年2月3日号