──柴咲さんから見て、直虎の魅力とは何でしょうか。

 とても素直な人だと思います。城主ですから、国を守って発展させたいという気持ちもあるんですが、それ以上に身近な人や自国の領地で暮らす人々の幸せを願っている。だから普通の城主としてはあり得ないような決断をしたりする。そしてどんなに大きな困難や壁にぶつかったときも、自分の信念を曲げません。強い人ですが、彼女の根底にあるのは優しさと思いやりだと思います。

──直虎とご自分に重なるところはありますか。

 自分を犠牲にしてでも誰かを守りたい、サポートしたいという気持ちは、私の中にもあります。直観的に一歩を踏み出していく部分も似ていますね。脚本を読んでいてもセリフがすんなり入ってきますし、共通点は多いと思います。私、周りの人に「父性がある」と言われるんです。以前、スピリチュアルな人にも「表層意識よりもずっと深いところに大きな空洞があって、そこには母というより、父の愛がある」と言われました。今回は自分でも気づいていないその部分を、うまく引き出してみたいです。

──大河ドラマの撮影は1年以上の長丁場になります。体力的には過酷では?

 撮影前、いろんな方からプレッシャーをかけられましたが、今のところ大丈夫です。毎週月曜日にその週に撮るすべての場面のリハーサルを行うんですが、そこでセリフや間合いを自分の中に落とし込んでから本番に臨めるのが、すごくいいですね。若いころはリハが好きではなかったんですが、今はリハによる安心感が大きい。もちろん、風邪をひいたりしたら大変なので、自己管理を徹底したいと思います。そのあたりは得意なんです。

──昨年11月5日放映の柴咲さん主演のスペシャルドラマ「氷の轍」(テレビ朝日系)で共演された沢村一樹さんにインタビューをしたとき、「柴咲さんの自己管理が素晴らしかった」とおっしゃっていました。

 あのドラマではロケのために2週間釧路にいたので、いつも以上に拍車がかかってしまって(笑)。撮影が終わったらホテルの部屋でストレッチと筋トレをして1時間お風呂に入り、台本を覚えて寝る。食事もホテルの方に頼んで「タンパク質弁当」を作ってもらうなど、徹底していました。

次のページ