質の良いオリーブオイルを選ぶことが大切だ(撮影/写真部・小原雄輝)
質の良いオリーブオイルを選ぶことが大切だ(撮影/写真部・小原雄輝)

 健康寿命を左右する体にいい油、悪い油。一般的に「バターなどの動物性脂肪をマーガリンやサラダ油などの植物油に替えれば、動脈硬化で起こる病気が予防できる」という考え方が根強い。しかし、フィンランドの首都ヘルシンキで行われた「ヘルシンキビジネスマン研究」によれば、植物油を多く摂ったほうが心臓病の発症率や死亡率が高いという結果が出ている。 

イタリア料理で欠かせない青い香りが特徴のオリーブオイルはどうだろうか。

オリーブオイルは体内で作ることができる一価不飽和脂肪酸の一つで、オレイン酸(オメガ9系)が主な成分だ。ほかには、菜種油、紅花油などに多く含まれ、アーモンドやカシューナッツ、マカダミアナッツなどのナッツ類にも豊富だ。

 一般的には血液中のLDLコレステロールを減らし、脂質異常症や動脈硬化を防ぐとされているアブラだが、非政府組織(NGO)日本食品油脂安全性協議会理事長で名古屋市立大学名誉教授の奥山治美氏はオレイン酸については「可もなく、不可もない」と評価する。

 しかし、アブラそのものではなく、植物からアブラを搾るときに出る“ほかの微量な成分”が問題になるケースがあるという。

「あくまでも動物実験という前提になりますが、菜種油やオリーブオイルをネズミに与えたところ、対照群に比べて寿命が短くなりました」(奥山氏)

 健康にマイナスの作用をもたらす微量成分が何か、まだ同定されていない。その成分がわかった上で、有害物質を除去したアブラを作ることができれば、「それこそ優等生のアブラになります」(同)と言う。

 オリーブオイルについては、 料理研究家の林葉子さんは奥山氏と少し異なる意見を持つ。嗜好品としてときどき楽しむ分には、特に問題ないというのだ。

「その際は質の良いオリーブオイルを選ぶこと。オリーブオイルは値段に品質が比例します。手摘みで低温圧搾したものがオススメで、食べてみてピリッと辛みがあるものが、品質の良いエキストラバージンオリーブオイルです」(林さん)

 値段が高めになってしまうので、小さいボトルを購入し、たまに使うのがよいそうだ。オレイン酸は酸化しにくいので、他のアブラより長期保存が可能だ。

週刊朝日 2016年12月23日号