「キッスのおかげで今の僕がいる」──ドラマーとして、ピアニストとして世界的に活躍するX JAPANのYOSHIKI。クラシック少年だった彼をロック少年に変身させたのはキッスの衝撃だった。20年以上ロスに住む彼の来日時に本誌が独占インタビューした。
〈本誌10月28日号で掲載した、キッスのジーン・シモンズ・インタビュー。当日ジーンは、「今度またYOSHIKIと会うんだ」と嬉しそうに語っていた。X JAPANのドキュメンタリー映画「We Are X」にもジーンは出演している〉
ロサンゼルスでの試写会で、彼はホストをつとめてくれました。1994年のキッスのトリビュートアルバムに僕が参加したことがきっかけで、友達づきあいをさせていただくようになりました。「キッスのおかげで今の僕がいる」と言っても過言ではない存在なんですけれども、そういう言い方は彼は喜ばない。
「YOSHIKIはもう、自分の世界を確立しているじゃないか」
と。それでも、僕にとっては、あのときキッスに出会っていなかったらという存在なんです。
〈ロックとの出会いは11歳。父を亡くしたばかりのころだった〉
父親を自殺で亡くしているんです。もともとクラシックピアノをやってまして、父親には毎月クラシックのアルバムを買ってもらっていました。将来は、「クラシックのピアニストになるんだろうな」と、なんとなく感じていたのですが、父を亡くした瞬間に、僕の中ですべてが変わった。事故死や病死ではないことで生まれた怒りと苦しみと悲しみと……頭の中がクエスチョンマークだらけになったんです。
〈そんなときにレコード店で見かけたキッスのアルバム「ラヴ・ガン」。そのビジュアルにショックを受け、音にまた衝撃を受けた〉
その後で母親に連れていってもらったキッスの武道館コンサート。それを見て、
「あ、叫んでいいんだ!」
ショックでしたね。それまでは、心の中の内向的な叫びでしかなかったものが、叫んでいいんだ、この苦しみを、悲しみを、吐き出していいんだ。ロックってなんて素晴らしいものなんだ!と、僕は感じてしまったんです。
キッスやロックに出会って、人生救われたみたいなところはありますね。
〈ロックの世界にハマり、ドラムを演奏するようになる。影響を受けたドラマーには、キッスのピーター・クリスの名を挙げる〉