9日目で蒼国来を寄り切りで破った遠藤 (c)朝日新聞社
9日目で蒼国来を寄り切りで破った遠藤 (c)朝日新聞社

 白鵬の10年ぶり休場で始まり、綱獲りを期待された稀勢の里も早々に2敗して、どうなることかと思われた大相撲9月場所。間隙(かんげき)を縫うように初優勝を飾ったのが何とカド番大関・豪栄道(30)。想定外の展開で盛り上げたが、もう一人、場所を大いに沸かせたのが終盤まで優勝争いに絡んだ遠藤(25)だ。

「当たりも強くなってるし、土俵際で残せてますから下半身の踏ん張りが利いてるってことで、復調してますよ。すごく勝ったように見えるかもしれないけど、彼の実力で、あの位置(前頭14枚目)でなら当然の結果でしょう」(スポーツ紙デスク)

 初土俵から新入幕まで史上最速の3場所で、髪を伸ばしてまげを結うのが間に合わなかったほどのスピード出世だった遠藤。ザンバラ髪とイケメンぶりが相まって人気が爆発し、今や連日満員御礼が続く大相撲人気の立役者だった。が、昨年の3月場所で、左膝前十字靱帯(じんたい)損傷、同外側半月板損傷という大けがを負ってしまう。

 その場所こそ残り9日間休場したものの手術はせず、5月、7月、9月、11月の本場所も休まずに出場し続けた。無理がたたったか、今年の1月場所では古傷を悪化させて途中休場し、3月場所では十両陥落。1場所で復帰し、7月場所では前頭6枚目まで番付を戻したものの、痛みの再発で3勝12敗どまり。

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