午前0時10分ごろ。事務所に集まった約80人の支援者から「もう終電がなくなる」という言葉が漏れ始めていた。当選確実がテレビで伝わると、支援者は総立ちとなり、「やったー」「おめでとう!」。歓声をあげて、ハイタッチしたり、抱き合ったりした。

「政党に対する『風』もなく、余裕のない戦い。結果が出るまで長く感じたが、安心した」。そう語った小川氏。「選挙区(の当確は全国で)、僕が最後だったの?」と本誌記者に問いかけ、順番を気にした。

 一歩及ばなかったのが、おおさか維新の田中康夫氏。長野県知事時代のガラス張りの知事室にならい、選挙事務所はガラス張りで、スタッフはそろいの青シャツで決めた。午後10時ごろまでは「勝つ! ゴールまでの道のりが長いだけ」と声が飛び、士気も高い様子。アメを配り合う余裕をみせた。

 しかし、夜が更けるにつれ、重苦しい雰囲気に。敗戦の弁を述べる田中氏に対し、記者からは東京都知事選立候補への意欲を尋ねる質問もさっそく飛んだ。

「僕は国政から政治を変えたい。都知事選は意欲ある人にお任せします」「私は物書き。当面はパソコンの前でウンウンうなります」

 なんとなく、都知事選に流れることはなく、作家活動に復帰するという。(本誌・吉﨑洋夫、牧野めぐみ、永井貴子、上田耕司、太田サトル、小泉耕平、松岡かすみ、秦 正理、鳴澤 大/今西憲之、松元千枝)

週刊朝日 2016年7月22日号