岸田:憲法を変えるのに反対というのではなく、改正すべきところは改正し、協力できるところもたくさんあると思います。全否定するとか、全肯定するのではなく、要はバランス感覚ですよね。

大下:古賀誠さんが、岸田さんを「ケンカしない。言葉がやさしすぎる」と評しておられますけど、どういうタイプだと思いますか。

岸田:政治の世界というのは古賀先生のおっしゃるとおり、ケンカすべきときはケンカすべきなのでしょう。ただ、ケンカばかりしていても、なかなか政治の世界で生きていくことができない。

大下:古賀先生は今も宏池会をバックアップされていますか?

岸田:はい。昨年の総裁選挙の対応をめぐって、立場、考え方が違ったということはありました。でも、その後、月に何べんかは古賀事務所にお邪魔してご指導は受けております。

大下:酒豪の岸田さんは外遊先で買ったワインなどをお土産で持っていかれるそうですね。5月31日の宏池会の勉強会のとき、古賀さんが「首相をめざす覚悟をしたらどうだ」と、みなさんの前で岸田さんにおっしゃった。なんと返答されたんですか。

岸田:別に返答はしておりませんが、ありがたいことだと思っています。若手も宏池会の系譜につながっていることを誇りに思うと口々に言っていますので、ぜひ政治の中で存在感を示したい。しっかりとした政治勢力になりたいと思っています。

大下:存在感ということは次のポスト安倍の総裁選のときには、当然、手を挙げられますよね。

岸田:今の段階で、挙げるとか言うとまた独り歩きするので、それはまだ控えてはおります……。

大下:それは控えめですね。オバマ大統領の広島訪問でも大きな成果がありましたし、そろそろ名乗りを上げてもいいのでは?

岸田:来年の宏池会60周年に向けて盛り上げたいと思ってますし、その結果が、ポストにもつながっていくのではないでしょうか。

大下:その意味じゃ、ご自分がもう少し発言を多くして、PRされたほうがいいのでは。

岸田:はい、私もそうした指摘はぜひ参考にさせていただき、努力したいと思います。(構成 本誌・上田耕司)

週刊朝日  2016年6月24日号より抜粋