試験は11都市で年3回受けられるので、受験生にとってはチャンスが増えることになる。難易度は英検でいうと準2級~準1級程度。CEFRに照らすと、A2~B2相当の力を測る。結果は合否判定ではなく、「スコア」と「バンド」という評価で通知する。
4技能のうち、特に注目される測定は「話す」だろう。スピーキング問題は正答・誤答の判断が難しそうだ。安河内さんによると、
「発音、内容などの採点は主観を排するため、タブレットで受験生の発言を録音し、複数の採点官が評価基準表を使って公正に評価しています」という。
具体的にはどのように入試に導入されているのか、上智大を例に見ていこう。
昨年から国際教養学部以外の全学部で始めたTEAP利用型入試は、学科ごとに設定したTEAPの基準スコアを満たせば、入試当日に英語の試験はない。つまり文系学部は国語と地歴などの2教科、理工学部は数学と理科2科目の点数だけで合否が決まる。
昨年は「読む」「書く」の2技能で実施したが、今年は文学部英文学科、外国語学部英語学科、法学部国際関係法学科など9学科で4技能試験のスコアが出願資格となった。
昨年に引き続き2技能の学科も、外国語学部以外はすべて、求められる基準スコアが引き上げられた。2、4技能ともに、総合スコアだけでなく、各技能のスコアも基準が設けられ、偏りのない英語力が求められている。
TEAP入試の志願者が昨年の9106人から4634人と半減したのは、このようにハードルをかなり厳しく設定したことが影響した、とみられている。しかし、安河内さんはこの結果を評価する。
「志願者数増をねらうだけなら基準スコアは低いほうが集まります。しかし、それでは他教科での勝負になり、英語力の高い生徒がとれなくなってしまう。基準を上げるのは適切な措置だと思います」
来年の同入試は、全学部に4技能を導入する。上智大のようにスコアが出願資格になる大学だけではなく、中京大や南山大のように基準スコアを満たせば英語を満点とみなす大学もある。
※週刊朝日 2016年3月4日号より抜粋