昨年からTEAP利用型入試を始めた上智大(撮影/写真部・植田真紗美)
昨年からTEAP利用型入試を始めた上智大(撮影/写真部・植田真紗美)

 事前に英語外部試験の基準スコアをクリアすれば、本番は英語の試験はなし。そんな入試方式があるのをご存じだろうか? 英語外部試験といえば、英検、TOEFLなどがよく知られているが、昨年、初実施された「TEAP」が人気を集めている。

 そもそもなぜ、大学入試に外部の英語試験を利用するのだろうか。背景には文部科学省の方針がある。

「使える英語力」をつけるためには「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランス良く身につけることが必要だ。しかし、従来の入試では、「話す」や「書く」などの出題が少なく、高校生の学習が偏り、英語力が伸び悩む一因と指摘されてきた。

 文科省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」委員で、実用英語推進機構代表理事も務める受験英語界の“カリスマ”安河内哲也さんは指摘する。

「『CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)』という語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格があります。もっともレベルが低いA1からもっとも高いC2まで6段階に分けていますが、日本の高3生は下位のA1からA2レベルが多い。特に『話す』『書く』の課題が大きいのが現状です」

 こうした状況を改善しようと、2013年には高等学校学習指導要領の改訂で、4技能習得のために「コミュニケーション英語」「英語表現」などの科目が設定された。

 そして14年9月、大学入試への外部試験活用を促す方針が決定。4技能を測れる試験は、高校生の英語学習の動機付けになると期待されているわけだ。

 昨年、TOEIC、TOEFL、英検、TEAPなどの外部試験を入試に採用した大学は少なくとも24大学。今年はさらに約20大学が新規に実施した。

 中でも注目を集めているのが、上智大と日本英語検定協会が共同開発し、昨年初実施された「アカデミック英語能力判定試験」、通称「TEAP」だ。昨年、TEAPを活用した入試を実施したのは上智大、立教大、関西大、立命館アジア太平洋大の4大学だけだったが、今年は21大学が採用した。

 同試験はIELTS、TOEFL iBT、GTEC CBTと同様、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を測る。

「国際的に通用するIELTSとTOEFL iBTは、英語力が極めて高いトップ層の生徒向き。一方、TEAPとGTEC CBTは、もう少し間口が広いといえます」(安河内さん)

 河合塾教育情報部の近藤治部長は、TEAPを導入する大学が増えてきたことについて、

「他の外部試験と違い、TEAPは大学教育で必要とされる英語を想定して開発されたため、導入しやすいのでしょう」

 と分析する。

 では、TEAPとはどんな試験なのだろうか。

次のページ