A:「統計では、不眠症と高血圧や糖尿病などには関係があるとされています。不眠症の人は、高血圧や糖尿病、うつ病、認知症などを発症する確率が高いというデータもあります。

 まだすべてのメカニズムが解明されているわけではありませんが、不眠症により、脳が過度な覚醒状態になることで分泌されるホルモンが、血圧の上昇などを引き起こすといわれています。不眠症は、QOL(生活の質)の低下を招くだけでなく、さまざまな病気の誘因となるリスクもあるため、早めに治療を受け、しっかり治すことが大切です」(稲田医師)

Q:一度治った不眠症が再発することはありますか?

A:「残念ながら、不眠症の再発はあります。とくに、長年不眠症が続き眠れないことへの不安が強い人や、これまでも不眠を繰り返してきた人などは、治りにくく、再発が起こりやすい傾向があると考えられます。不安や焦りは余計に症状を悪化させるため、心配しすぎず、主治医と一緒に気長に治療を続けていきましょう」(稲田医師)

「人生にはいろいろなイベントがつきもので、予想もしなかったことが起こることもあります。そのため、治療により一度は治った不眠症が、何かのきっかけで再発することはあると考えられます。ただし、認知行動療法で行動や生活の改善や、考え方の転換ができた患者さんは、また同じようなことがあったときの対処法を習得していることで再発を予防できることもあるようです」(堀医師)

週刊朝日 2016年2月26日号