めまいは、耳が原因の末梢性めまいと脳が原因の中枢性めまいに大別される。末梢性の代表的な疾患が「良性発作性頭位めまい症」や「メニエール病」、中枢性の代表的な疾患が「脳卒中」だ。

 めまい疾患の約2%と多くはないが、警戒すべき「怖い」めまいが、中枢性めまいと呼ばれる、脳卒中(脳梗塞や脳出血)に伴うめまいだ。

 横浜市在住の小林大介さん(仮名・61歳)は、もともと高血圧と脂質異常症があった。ある早朝、トイレに行こうとしたとき、めまいを感じ、歩けずに座り込んでしまった。左上半身に痺れがあり、ろれつがまわらないことにも気付いたため、救急要請して脳卒中・神経脊椎センターに搬送された。

 MRIで小林さんの脳に血栓による脳梗塞が確認できたために、そのまま緊急入院。城倉医師により、直ちに抗血栓治療が開始された。点滴治療とリハビリで症状は徐々に改善し、4日後には自分で歩けるようになった。左手の温度感覚の障害と右目の見えにくさは残ったが、3週間後に退院し、現在は自宅で生活している。

 中枢性めまいは、迅速な措置がカギになる。その見分け方を、横浜市立脳卒中・神経脊椎センター副病院長で脳卒中・神経疾患センター長の城倉健医師は解説する。

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