動物写真家の岩合光昭さんの世界の猫を訪ねる旅をお送りする。今回は、マダガスカル・アンタニヴィナキ村の猫。

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 人のいる場所には、猫がいる。マダガスカル南部のアンタニヴィナキ村。村民30人ほどのこの小さな集落にも猫が暮らす。

 目を細め、こちらを誰何(すいか)する猫。珍客を喜ぶ村の子供たちに、昼寝を起こされ寝ぼけ眼だ。平静を装ってはいるが、しっぽはご主人の村長夫人とつながっている。

 ここでは、猫もただのペットではなく、ネズミから農産物を守る仕事を担う。人も動物も、村の全ての者が助け合う。

 在りし日の暮らしが今も続いている。

岩合光昭(いわごう・みつあき)
1950年生まれ。動物写真家。NHK BSプレミアムにて「岩合光昭の世界ネコ歩き」放送中。

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週刊朝日 2015年9月11日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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